白夜行は気持ち悪い作品か?あらすじと感想を紹介
今回紹介する小説は「白夜行」です。分厚い一冊であり、読了後は「気持ち悪い」「胸糞悪い」と感じた人もいるはず。僕も、最初読んだときは「気持ち悪いな」という感情を抱きました。言いようもない気持ち悪さが残る白夜行ですが、読み返すうちにその気持ち悪さは薄れていくのではないでしょうか?
今回紹介する白夜行は、東野圭吾先生の代表作としてもカウントされます。東野圭吾好きには溜まらない一作ですが、気持ち悪い、胸糞悪いなど嫌煙されがちです。本の分厚さも相まって、読む前に手放している方もいるのではないでしょうか?このブログでは、読了後の感想などを含めて詳しく紹介していきます。
白夜行は気持ち悪い作品か?あらすじと感想を紹介
- 東野圭吾「白夜行」あらすじ
- 気持ち悪い?胸糞悪い?
- 読んでみた感想(初見)
- 繰り返し読んでみた感想
- 白夜行は何ページあるの?主人公は誰?
東野圭吾「白夜行」あらすじ
白夜行のあらすじは、各所で紹介されています。ここでは小説版のあらすじを紹介したいと思います。
1973年、質屋殺人をきっかけに、少年・桐原亮司と少女・西本雪穂の運命が交錯する。亮司は雪穂を守るため父親を殺し、雪穂は母親を犠牲にして亮司をかばう。二人は互いの秘密を知り、その後も数々の犯罪に手を染めていく。
容姿端麗な雪穂は、富豪の妻となり華やかな人生を送る一方、裏では亮司と連絡を取り合い、彼の犯罪行為を支援していた。亮司は、雪穂のために殺人を繰り返すなど、彼女への執着を深めていく。
刑事の笹垣は、この事件の真相を追及し、二人の関係にたどり着く。しかし、雪穂は巧みに証拠を隠滅し、警察の追及をかわし続ける。そして、亮司は警察に追い詰められ、自ら命を絶つ。
事件の真相が明らかになるにつれて、二人の歪んだ愛と、それを支えるために犯された数々の罪が浮かび上がる。雪穂は、亮司を失ってもなお、冷酷な表情で新たな人生を歩み始めるのだった。
気持ち悪い?胸糞悪い?
気持ち悪いという感情を抱いたことは否定できないです。(※あくまで個人的見解です※)というのも、正直って人間の心の闇を描くのが上手ですよね。ネタバレを避けるために深い記述は避けますが、人間のオドロオドロシイ闇がちゃんと書かれています。それは、読むものを魅了するのではなく、嫌悪感を抱かせるものです。なぜなら、僕らが普段遭遇しない異常事態であり、目を背けている何かだからです。自分から自分の闇をのぞき込みたい人なんていませんが、この白夜行という小説では、無理やり見せつけてきます。その闇に触れた時、自分の中で「気持ち悪い」としか形容できない、違和感のようなものを実感します。読み解くのに時間がかかれば、本の中身に惚れるほど、実は「気持ち悪い」という感情は増していくのです。胸糞悪い展開もあるため、胸糞悪いと感じる人もいると思います。
読んでみた感想(初見)
所見では、正直何が何やら理解できませんでした。胸糞悪い、気持ち悪いと感じるシーンも多くあります。最初から内容が重たく、気軽に読むことはできません。ですが、それ以上にちりばめられた伏線の数々が多くて大変だった方が印象的です。ページ数もさることながら、一ページごとの重みが重たく感じます。ゆっくりとしたペースで時間をかけて、誰かの人類史でも覗き込んだような気分でした。序盤の衝撃も、終盤の盛り上がりも、すべてある程度伏線を見つけていないと、衝撃展開についていけないです。また、登場人物たちへの理解が浅くなるため、「なんだかわからない」というモヤモヤが強くなります。そこには、恋愛感情すら生ぬるい、ゆがんだ信頼関係がありました。その関係の更に奥には、共生関係と呼べるような何かがあり、自分には考えも及ばない世界が広がっています。
繰り返し読んでみた感想
何度か繰り返し読んでみると、「気持ち悪い」「胸糞悪い」と感じる展開にも、納得がいくようになります。序盤から絶望的な展開、中盤の出来事、明かされる事実。一つ一つの出来事がしっかりと線でつながり、登場人物たちのバックボーンがあると、この小説は何倍も見やすくなります。そして、バックボーンから相関関係を洗い出すと、各シーンでの登場人物たちの不可解な行動の意図や意味がはっきり見えてきました。最初にあった疑問点の多くは解消され、自分の中で解釈して咀嚼して飲み込める世界が広がります。ただ、自分の中で世界が広がり理解できる程、残念ながら「救いようがない現実にぶつかる」というジレンマもありました。何度か読んでみると面白い作品かもしれません、その顔を何度も変えてくれる傑作だと思います。
白夜行は何ページあるの?主人公は誰?
文庫版で864ページを記録する長編作品です。一冊の文庫本で完結しているため、かなり分厚い一冊になっています。この物語の主人公は、「桐原亮司」と「唐沢(西本)雪穂」です。この二人を中心に物語が展開されていきます。特に、二人の関係は、19年前に起こった事件の被害者と、加害者の娘という関係です。二人は19年前に起こった事件を機に、そのすべてが狂ってしまいます。この物語は、その事件を取り巻く、彼らの物語です。
白夜行は気持ち悪い作品か?あらすじと感想を紹介の詳細
- 気まずいシーンがある?
- 白夜行はヤバい?なぜ亮司は死んだ?
- 最後の一文は何だったのか?
- 再放送できない理由
- 白夜行のキャストは?
気まずいシーンがある?
胸糞展開もあれば、気持ち悪いところも、気まずいシーンもあります。それは、性的描写が描かれているからです。作中では強姦シーンがあるだけではなく、その供述や仄めかす発言があります。登場人物としては、美佳と雪穂ですね。そのため、ドラマ版では見る場所を選ばなければ気まずいシーンが流れてしまいます。文庫版でも生々しく描かれますが、挿絵はないので大丈夫です。
また、雪穂という少女は、並外れた美貌を持つ少女として描かれています。また、主人公の一人である桐原の父親は昔、同い年の処女である雪穂に、性的な視線を向けていたことを知っています。その経験もあり、性に対しては冷酷な一面もあります。一方で雪穂の方も、亮司以外には心を一切開かないという徹底ぶりを見せています。ただ、自分が効率よく生きていくためには、その感情すら利用していました。
白夜行はヤバい?なぜ亮司死んだ?
白夜行はヤバいというかラストシーンが重たいです。最終的には、亮司が死に雪穂だけが生き残ります。亮司の最後の言葉は、「行け」であり、雪穂に逃げるように指さしてその場に倒れて終わるというラストを迎えます。それは、これまでの人生は闇ばかりだったが、これからは光の下を歩いてほしいという思いでした。ただ、この場で亮司が死ななければならない理由は、「雪穂が生きるため」だと思います。
亮司が死に、すべてが駄目になった雪穂のもとに、刑事が訪れるシーンがあります。その際に自首を進めていますが、「亮司に悪いから」と言ってまるで生きる屍のように生きる選択をする雪穂が描かれています。真実も言えず、自殺もできない、ただ生きるだけの日々を送るという、結末を迎えることになります。これは、亮司が生きていては絶対に作れないエンドであると思います。
最後の一文は何だったのか?
原作の最後の一文は、次のような形で締めくくられています。
「彼女は一度も振り返らなかった」
白夜行
まるで雪穂が死んでいくかのような描写です。ただ、死ぬことも許されないし、真実を話すことも許されないはずの雪穂です。この描写があるものの、死ぬことはないでしょう。この最後の一文にかけられた思いは、様々な考察があると覆います。ただ、この一文は昔雪穂が愛読した小説「風と共に去りぬ」という作品の一節でもあります。
この作品を出して敢えて引用しているところを考えると、これからも雪穂は力強く、生きる屍にならぬように生きていくという描写ではないでしょうか?その前には、このような描写もありましたし。
「雪穂はエスカレーターをのぼっていくところだった。その後ろ姿は白い影に見えた」
白夜行
再放送できない理由
白夜行が再放送できない理由は、様々考えられます。まずは、作品が古いことですね。小説自体は、1999年の作品ですし、テレビドラマになったのも2006年です。2005年には舞台化されるほどの人気作でしたが、2011年に映画化されて以降、特に触れられていません。昨今では、サブスクサービスでの利用率が重要になりますが、長編ドラマや昔の作品はそこまで見られていません。直近のドラマなどと比べ、生々しく、「気持ち悪い」という感想を抱く人も当時からいました。そのため、再放送や、再度ドラマ化することは難しいのではないでしょうか?
白夜行のキャストは?
白夜行がテレビドラマ化された際には、次のようなキャスト陣で撮影がされました。かなり人気のドラマであり、ドラマ完結後も映画化されています。
- 山田孝之
- 綾瀬はるか
- 柏原崇
- 田中幸太郎
- 小出恵介
- 向井理
- 八千草薫
- 西田尚美
- 大塚ちひと
- 塩谷瞬
- 平田満
- 麻生祐未
白夜行は気持ち悪い作品か?あらすじと感想を紹介の総括
今回は、東野圭吾さん「白夜行」を紹介し、あらすじや感想を述べました。白夜行は、「気持ち悪い」「胸糞悪い」などの、ちょっと作品としては低評価気味に感じるかもしれません。ですが、実際にはよく作られた作品であるがゆえに、そのような評価がされてしまったとわかります。読んでみて、実際に感想を聞いてみると「気持ち悪い」と言っている人たちも、嫌悪感で話しているわけではありません。作品へのリスペクトはあります。
それでは、皆さんの良きオタクライフ、よき読書ライフを応援しております。
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