「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?の要約と感想

今回紹介する一冊は、「「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策【今井むつみ】」です。話をしているとき、思わず「なんで伝わらないの?」「なんでわかってくれないの?」と、独り相撲をしていないでしょうか?

今回は、「「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策【今井むつみ】」という本をもとに、その原因と対策を紹介します。要約だけではなく感想も記述しておくので、興味が出たらぜひとも購入して読んでいただきたい一冊です。

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?の要約と感想

  • 「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策の要約
  • 本を読んでみての感想
  • 注意したいと思えることと意識
  • 独り相撲であるという事実
  • 情報量が違うという事実を忘れるな

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策の要約

本書からの学びは、次の内容です。コミュニケーションは難しいことを念頭に、相手の立場に立つや例え話をするなど、「伝わらない」を相手のせいにせず、一度振り返ってみましょう。

  • コミュニケーションは難しい: 人はそれぞれ異なるスキーマを持っており、同じものを見ていても、同じように理解することはできません。また、人はすぐに忘れてしまうという性質もあるため、何回説明しても、相手に伝わらないことがあります。
  • 相手の立場に立つ: 相手とうまく伝えるためには、俯瞰して相手の立場になって考えることが大切です。相手の置かれている状況や知識を想像してから伝えることで、より効果的にコミュニケーションすることができます。
  • 理由を伝える: 結論だけを伝えるのではなく、理由も一緒に伝えることで、相手の心を動かすことができます。
  • 具体的に伝える: 例え話を使って話を具体的にすることで、相手と自分の中に誤解やずれが生じにくくなります。
  • 相手をコントロールしない: 相手をコントロールしようと思わず、相手を尊重し、対等な立場でコミュニケーションをとることが大切です。

本を読んでみての感想

事実として、どう頑張っても伝わらない思いや考えはあると思います。それは、主義主張、思想、教育環境家庭、様々な要因でどうしようもないことです。とはいえ、「じゃあ仕方ないよね」と諦めてはダメだと、改めて理解しました。結局のところ、「伝わらないから仕方ない」というのも、「分からないから相手が悪い」というのも、自分視点の下らない自己主張でしかなかったです。大事なのは「互いの情報量」「要点」「視点」なのだと思いました。特に、互いの情報量に関しては、自分の努力で変化させることができる要因です。だから、今後はこの「情報量」という観点には、注意していくべきだと思った。できれば、「相手の立場に立つ」などの上級技術が欲しいけど、それは難しいのではないだろうか?性格的な、脳の構造的な、なんか変な問題があると思う。なので、まずは「情報量の均一化」を意識した会話をしてみたいと思います。

注意したいと思えることと意識

注意したいことは「情報量」に関する項目でした。本書の中では「スキーマ」という言葉で表現されており、色眼鏡、先入観、前提知識や経験などが当てはまります。これを意識していない会話というのは、「主語や枕詞がない」ということにあると思います。中身のない会話をする際はいいが、情報伝達やしっかりと相手に何かを理解させたいとき、主語や目的、「何が?」という項目がしっかりしていないと、伝わらないです。よく、5W2Hと言われますが、まずはその構文を意識した会話、文章構成、伝達方法を考えていきたいと思います。

誰に、何を、どのように、どうして伝えたいのか。それを意識して記述すると、「伝わらない」というジレンマから解放される気がします。

独り相撲であるという事実

独り相撲であるというのは、「伝わらない」と思っている双方に言えることでした。だって、伝える側は「なんで伝わらないの?」と思っているし、教えられる側は「説明下手だな」と思っています。お互いに、一歩も歩み寄らず、そこで待機して相手が来るのを待っているだけです。独りよがり、独り相撲と表現せずにはいられない。結局、「相手のことを考える」という行為が、ただの自己満足でしかないということを、理解しなければならない。本当に相手のことを理解することはできないし、計算しつくしても感情という不確定要素はコントロールできないのです。それを忘れることなく、「自分の何が悪いのか?」を自問自答しながら、答えを探してみることが重要です。独り相撲では、一生何も変わらないし、何も進歩しません。

情報量が違うという事実を忘れるな

情報量の違いには、いくつかの種類があります。本書の中ではスキーマという概念で紹介されていますが、人が持つ知識やフィルターには、大きく偏りがあることを知っておくべきです。これを意識しなければ、まずもって「伝える」ということは困難でしょう。

  • 情報解釈の偏り: 同じ情報でも、人によって異なるスキーマを持っているため、解釈が異なってしまいます。
  • 新しい情報の受け入れ方: 新しい情報が既存のスキーマに合致すると、スムーズに受け入れられますが、合致しない場合は、新しい情報を歪めて解釈したり、無視したりする傾向があります。
  • 誤解や対立の原因: 異なるスキーマを持っている人同士でコミュニケーションをとると、誤解が生じたり、対立したりすることがあります。

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策の詳細解説

  • 私たちはそれぞれ異なるスキーマを通して情報を理解している
  • 人はすぐに忘れてしまう
  • 俯瞰して相手の立場になって考える
  • 結論だけじゃなくて理由も一緒に伝える
  • 例え話を使って話を具体的にする
  • 改めて、【何回説明しても伝わらないという事実】を考えてみる

私たちはそれぞれ異なるスキーマを通して情報を理解している

スキーマとは、今まで経験してきたことや育ってきた環境、文化、得てきた情報によって生み出される「潜入感や思い込み」のことです。ある事柄についての概念や知識の枠組みのこと、とも表現できます。いわば、物事に対する「型」のようなものです。私たちはそれぞれ異なるスキーマを持っているため、同じものを見ていても、同じように理解することはできません。

例えば、「犬」というスキーマを持っていれば、犬は四足歩行で、毛が生えていて、吠えるもの、というような特徴を結びつけて考えることができます。このスキーマは、過去の経験や学習によって形成され、新しい情報を取り入れる際のフィルターとして機能します。

人はすぐに忘れてしまう

人は、どうでもいいことをすぐに忘れてしまうという性質があります。そのため、何回説明しても、相手に伝わらないことがあります。また、人は全てのことを記憶することはできないため、自分が必要だと思うことや興味のあることだけを優先的に記憶します。

つまり、どれだけいいことを話していても「興味がない」となれば、覚えてもらうことができません。また、記憶に定着させるには、定期的に振り返ることも必要です。伝達した情報がどれほど重要で中長期的な内容なのかを判断し、適切にリマインドなどをする必要もあります。

俯瞰して相手の立場になって考える

相手とうまく伝えるためには、俯瞰して相手の立場になって考えることが大切です。相手の置かれている状況や知識を想像してから伝えることで、より効果的にコミュニケーションすることができます。「相手の立場に立つ」という行為は、単なる思いやりや配慮を超えて、効果的なコミュニケーション にとって不可欠な要素です。その理由を以下に詳しく解説します。

  • 共感と信頼の醸成: 相手の立場を理解し、共感することで、相手は「自分のことを理解してくれている」と感じ、安心感や信頼感を持つことができます。
  • 誤解の防止: 自分の視点だけで物事を捉えると、意図せず相手に誤解を与えてしまうことがあります。相手の立場に立って考えることで、このような誤解を未然に防ぐことができます。
  • 説得力の向上: 相手のニーズや価値観を踏まえて、その人に合った伝え方をすることで、より効果的に自分の考えを伝えることができます。
  • 円滑な関係構築: 相互理解を深めることで、良好な人間関係を築くことができます。

具体的に相手に寄り添っていくためには、次のことを意識してみましょう。

  • 質問をする:相手の背景や状況について質問をすることで、より深く理解することができます。「どう思いますか?」「なぜそう思うのですか?」といったオープンな質問は、相手の話を引き出すのに有効です。
  • 相手の言葉で話す:相手が普段使っている言葉や表現を使うことで、より共感を得ることができます。専門用語や難しい言葉は避け、分かりやすい言葉で説明しましょう。
  • 相手の非言語的なサインに注意する:相手の表情や態度、声のトーンなどに注意することで、相手の感情や考えを推測することができます。
  • 相手の価値観を理解する:相手の価値観や信念を理解することで、より効果的にコミュニケーションをとることができます。
  • 自分の意見を押し付けない:自分の意見を一方的に押し付けるのではなく、相手の意見も尊重し、対等な立場で話し合いましょう。

結論だけじゃなくて理由も一緒に伝える

人は、単に「こうしろ」と言われるよりも、「なぜそうするのか」という「理由」を知りたい生き物です。理由を知ることで、

  • 納得感: 行動の根拠が明確になり、納得感を得ることができます。
  • 動機づけ: 行動の目的や意義を理解し、自ら進んで行動しようとする意欲が湧きます。
  • 記憶の定着: 理由と結びつけて情報を記憶することで、より長く記憶に残ります。

効果的な理由の伝え方としては、次のような内容があります。

  • 具体的に: 抽象的な概念ではなく、具体的な事例や数字を用いて説明することで、より理解しやすくなります。 例:「この企画を進める理由は、市場規模が拡大しているからです。昨年のデータによると、この市場は15%成長しています。」
  • 共感できる理由: 相手の価値観や目標に合致した理由を提示することで、共感を得やすくなります。 例:「このプロジェクトを成功させれば、チーム全体のモチベーションが向上し、より良い成果につながると信じています。」
  • 簡潔に: 長々と説明せず、簡潔に核心を伝えることが重要です。
  • 感情に訴えかける: 論理的な説明だけでなく、感情に訴えかける言葉を入れることで、より心に響くメッセージになります。

例え話を使って話を具体的にする

例え話を使うことで、様々な効果を得ることができます。代表的なものを、箇条書きで紹介します。

  • 複雑な概念を分かりやすく説明: 抽象的な概念を、身近な例に置き換えることで、より理解しやすくなります。
  • 記憶に残りやすい: 具体的なイメージと結びつけることで、より記憶に残りやすくなります。
  • 共感を呼ぶ: 相手の経験や知識と結びつくような例え話を使うことで、共感を呼ぶことができます。
  • 興味を引きつける: 聞き手の興味を引きつけ、話を最後まで聞いてもらうことができます。

注意事項としては、単に例え話をすればなんでもいいわけではありません。大事なのは、効果的な例え話の選び方を行うことです。

  • 身近な例: 相手が知っているような、身近な例を選ぶことが大切です。
  • 簡潔で分かりやすい例: 長すぎる例え話は、かえって分かりにくくなるため、簡潔にまとめることが重要です。
  • 関連性の高い例: 説明したい内容と関連性の高い例を選ぶことが大切です。
  • 聴衆に合わせた例: 聴衆の年齢や職業、興味関心に合わせて例え話を選ぶことが重要です。

改めて、【何回説明しても伝わらないという事実】を考えてみる

何回説明しても伝わらない理由は、大きく分けて2つあります。1つは、私たちがそれぞれ異なるスキーマを持っていること、もう1つは、人はすぐに忘れてしまうことです。この2つの理由があるため、どうしたって自分の伝えたいことを100%相手に伝えることはできません。

その上で、どううまく伝えるべきかについては、以下の4つの方法が紹介されています。

  1. 俯瞰して相手の立場になって考える
  2. 結論だけじゃなくて理由も一緒に伝える
  3. 例え話を使って話を具体的にする
  4. 相手から好かれる工夫をして相手の感情に気を配る

「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?の要約と感想の総括!

認知科学者である今井むつみ氏の著書「何回説明しても伝わらない」を要約しています。この本は、コミュニケーションがうまくいかない理由を、認知科学の視点から解説しています。次の内容を意識して、これからのコミュニケーションをしてみましょう!

  • コミュニケーションは難しい: 人はそれぞれ異なるスキーマを持っており、同じものを見ていても、同じように理解することはできません。また、人はすぐに忘れてしまうという性質もあるため、何回説明しても、相手に伝わらないことがあります。
  • 相手の立場に立つ: 相手とうまく伝えるためには、俯瞰して相手の立場になって考えることが大切です。相手の置かれている状況や知識を想像してから伝えることで、より効果的にコミュニケーションすることができます。
  • 理由を伝える: 結論だけを伝えるのではなく、理由も一緒に伝えることで、相手の心を動かすことができます。
  • 具体的に伝える: 例え話を使って話を具体的にすることで、相手と自分の中に誤解やずれが生じにくくなります。
  • 相手をコントロールしない: 相手をコントロールしようと思わず、相手を尊重し、対等な立場でコミュニケーションをとることが大切です。

ほかのおすすめ記事

読了本

Posted by とあるオタク