小説「君にささやかな奇蹟を」のあらすじと感想

今回紹介するのは、「君にささやかな奇蹟を」という小説です。これは、純粋で綺麗な世界を描いた恋物語です。この小説は、素敵できれい、儚く、胸が温まるお話になっています。まだこの話を堪能していないのであれば、この記事はネタバレを含みますので、注意してみてください。

それでは。「君にささやかな奇蹟を」の内容やあらすじ、その感想などを紹介していきます。

小説「君にささやかな奇蹟を」のあらすじと感想

  • 「君にささやかな奇蹟を」のあらすじ
  • 「君にささやかな奇蹟を」読んで感想
  • 「君にささやかな奇蹟を」は面白い?
  • ネタバレ!純粋でどこまでもきれいな恋物語
  • 稚拙に感じる?
  • 読書感想文な感想

「君にささやかな奇蹟を」のあらすじ

この小説は、サンタクロースが存在する世界での二人の恋物語を描いています。夢をあきらめたヒロインの前に現れたのは、ちょっとドン臭くて、想像とはかけ離れたサンタクロースの青年。とある事情で、サンタクロース含め、空想上の希望をもたらす存在に嫌悪感を抱いているヒロインは、その青年を前に嫌悪感を隠すことなく対応する。彼は彼女の夢を叶える為に、翻弄するがその選択は彼女にどのような効果をもたらすのだろうか?

あらすじ

子供の頃信じていたサンタクロースが本当にいたら? しかも日本に。でも彼はイメージと程遠く愚図で意気地なし。そんな彼も恋をします。彼女はどこにでもいる普通の女性。ですが夢を失い、今の自分に向き合えずにいました。サンタは彼女のために願いを叶えようとします。どんな辛いことでも笑顔で隠して。すると彼女の中で何かが変わり始め──。現代のおとぎ話は素敵な恋物語。大切なものをもう一度思い出させてくれます。

引用;Amazon販売サイト

「君にささやかな奇蹟を」読んで感想

この小説を読んだ感想は、「純粋で綺麗、故に儚く温かい」というのが正直な感想だ。序盤は主人公である聖也の在り方に、正直参ってしまう。あまりに愚鈍という外なく、狙って行動しているとしたら最低だし、相手の立場になっても歓迎できる行動ではない。でも、その山を乗り越えた瞬間、怒涛の展開が繰り広げられる。その全てが物語後半への伏線のようなもので、こちらの感情を突き放すためのものだった。中盤以降、急激に距離を縮め、そして成長していく二人。「人は変わっていける」「いつからでも歩き出せる」という言葉を見事に体現しているような小説だった。何より、サンタクロースが本当の実在するという、本当に美しくきれいな夢物語のような世界に恥じない、純粋で綺麗な二人の物語だった。そこには、温かみもあるし最後の仕掛けには涙腺を刺激されるが、それ以上に純粋な二人と世界に感動した。

「君にささやかな奇蹟を」は面白い?

序盤を乗り越えることに成功すれば、ものすごく面白いです。正直、物語の序盤で離れてしまう人は多いと思うし、中盤始まりでも「よくある展開だな」ってなる人もいるでしょう。ただ、先ほどの感想でも記述しましたが、中盤以降は物語に引き込まれて目が離せない時間が続きます。まさに怒涛の展開、最後の驚くべき仕掛け。すべてがきれいにかみ合ったとき、序盤の愚鈍な主人公のある意味滑稽な姿でさえ、「面白い」と思ってしまえます。思わず許してしまうような、そんな物語です。序盤で飽きず、離れず、あきらめず、途中まで読み進めてほしいです。

ネタバレ!純粋でどこまでもきれいな恋物語

これは、純粋な恋物語です。現代版のおとぎ話であるのか、そう思ってしまうほど純粋な恋を描いています。「誰かを思う気持ち」のキレイさと儚さ、そしてその気持ちに後押しされた人の見せる力を見せてくれるのです。でも、それは飾りすぎて非現実的になることもなく、悪役の引き立てがあって成り立つような、対比で見せる強さではありません。どこまでもまっすぐで、まるで物語の主人公のごとく純粋でまっすぐな青年が、徐々に成長し、「大切な人の為にどこまでも頑張れる」「人は、何時からでもどこからでも変わることが、頑張ることができる」と、優しくしかし力強く示してくれる一冊です。サンタクロースとは、「人に幸せと夢を与える存在」であると気が付いたとき、この物語は加速します。

稚拙に感じる?

人によっては「良くある」「稚拙」「ありふれた」と感じることもあるでしょう。それは、間違いないと思うし、そう感じてしまうことも、致し方のないことなんだと思う。正直、そう思ってしまうほどに「純粋」なのだ。世間を知らない、世界を知らない、そう表現してしまうほどに、この物語は美しい何かを掬い上げて作ったのではないか?と思ってしまう。だからこそ「稚拙」の一言で片づけてしまう人もいるだろうし、逆にそこに対して「感動」を覚える人もいると思う。

読書感想文な感想

『君にささやかな奇蹟を』は、宇山佳佑による心温まる恋物語です。物語は、サンタクロースの後継者である聖也と、夢を失った女性・伊吹の出会いから始まります。聖也は、サンタクロースとしての使命を果たすために奮闘し、伊吹の心を癒すために努力します。彼の不器用ながらも真摯な姿勢が、次第に伊吹の心を動かしていく様子が描かれています。

この作品の魅力は、登場人物たちの成長と変化にあります。特に、聖也の成長は感動的です。彼は最初、意気地なしで頼りない存在でしたが、伊吹のために一生懸命に努力する姿勢が、読者に勇気と希望を与えます。また、伊吹も聖也の影響を受け、自分自身と向き合い、再び夢を追いかける決意をします。

物語全体を通して、愛と奇跡の力が強調されています。サンタクロースというファンタジー要素を取り入れながらも、現実的な人間関係や感情が丁寧に描かれており、読者は共感しやすいです。特に、クリスマスの季節に読むと、一層心温まる気持ちになるでしょう。

この小説は、誰かを思うことの大切さと、その思いを大切にして頑張る事ができる自分を後押ししてくれる作品です。自分を信じて頑張れる勇気がない時や、誰かの為に一歩踏み出す勇気がない方の背をそっと押してくれると思います。日常にあふれる小さな奇跡、小さな勇気、変わりたいと願う自分の感情に従って、一歩一歩踏み出してみようと思いました。

「君にささやかな奇蹟を」の情報詳細!

  • 原作者は誰?
  • 「桜のような僕の恋人」とは?
  • 映画化はまだ?
  • 登場人物紹介

原作者は誰?

この作品の作者は「宇山佳佑(うやま けいすけ)」先生です。代表作は、「桜のような僕の恋人」ですが、その外にも「今夜、ロマンス劇場で」「恋に焦がれたブルー」などの作品が有名です。特に、桜のような僕の恋人は、その人気から映画化も行われています。

脚本家としても活躍しており、そのデビュー作品は、「スイッチ・ガール」です。これは、少女漫画作品であり、この脚本を手掛けたことをきっかけにテレビドラマの脚本を担当し始めました。その後、『この恋は世界でいちばん美しい雨』を集英社から刊行し、文堂書店大賞・文芸書部門の「第13回(2019年度)文堂書店文芸書大賞」を受賞することになりました。

「桜のような僕の恋人」とは?

桜のような僕の恋人は、カメラマン見習いの青年と、ファストフォワード症候群を患った女性の恋愛を描いた作品です。実写映画化も行われ、特に原作小説は「泣ける」ということで、SNSで話題になりました。漫画化も行われており、小説だけでも70万部を売り上げる大ヒット作です。

桜のような僕の恋人も、儚くも美しい恋物語を描いており、最後まで読めば感動すること間違いなしの作品となっています。移ろう奇跡とともに繊細に、それでいて痛々しく描かれる主人公たちの心の移ろいに、季節の代わり方に、心を奪われて止みません。

映画化はまだ?

桜のような僕の恋人は映画化されていますが、今回紹介した「君にささやかな奇蹟を」は、まだ映画化されていません。また、映画化だけではなく、漫画化などのメディアミックスも行われていないため、映画化する可能性はかなり低いのではないだろうか、というのが正直な感想です。今後、何かの拍子に注目されて人気が出ると、より映画化やドラマ化の可能性が高まります。

登場人物紹介

物語の主人公は、「阿部伊吹(あべいぶき)」です。伊吹は、幼少期のあるトラウマから、サンタクロースそのものが大嫌いでもあります。彼女の夢は「絵本作家になること」であり、昔その夢を諦めてしまい、そのことを引きずった毎日を送っていました。

この物語は彼女の心理的成長も描いており、もう一人の主人公が、サンタクロースでもある「明日真・ニコラオス・聖也」です。彼は、日本における「サンタクロース家」の現当主であり、あまりに不器用なダメダメ男でもあります。彼は、伊吹のことを応援したいと思ったが、コミュニケーションを最初から失敗し、マイナススタートを見事に決めることになってしまいます。

小説「君にささやかな奇蹟を」のあらすじと感想の総括

今回は、「君にささやかな奇蹟を」を紹介しました。ネタバレ込みの感想を紹介し、あらすじなども詳しく紹介しました。これは、「気が付いた時には胸が温まる恋物語」です。誰かを心から愛すること、夢を追うことの美しさを、読者である我々に丁寧に、きれいなまま届けてくれます。我武者羅に、ただ自分らしく頑張ることが恥ずかしいなんて、勘違いを今日この瞬間から消してくれる、そんな一冊です。

もしも興味がでたら、ぜひとも手に取ってくださいね

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Posted by とあるオタク